若手インハウスのひとりごと

若手企業内弁護士の日々の仕事、勉強、法律のこと、今後のキャリアや業界のことを思うままに記すブログです。

法務における資格の有無その1

自分の中でPayPayネタが飽きてしまったので、

表題の件について一つ考えてみたいと思います。

 

法務におけるライセンスの有無について。

端的にいうと、資格の有無ってどう違うのかという点です。

インハウスが爆発的に増えたのは、ここ最近のことです。必然、自分の上長が弁護士資格を持っていないという会社も多いのではないかと思います。また、先輩の法務部員の中にも資格を持っていない人がいらっしゃるのではないかと思います。

資格の有無を取り上げることって、あまり意味のあることではないですが、きっと両者の違いってあるのか?ないのか?を知りたい人も多いのではないかと思います。だからこそ、あえて書いてみてもよいのかなと。

 

さて、非常にざっくりとですが、比較する際の視点としては以下のような能力に分解されるのではないでしょうか(あくまで主観です)。

 

1【人脈力=観察力】

2【想像力=表現力】

3【仕事力=総合力】

 

以下、詳述します。

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1【人脈力=観察力】

法務という、直接会社の利益に貢献しない部門は、他部署との関係値に大きく左右される性質を持っているため、社内人脈を持っているか、当社のビジネスをどれだけ分かっているかという点が非常に大事です。

たとえば、会社の中で仕事をしていると、この人はこういう性格だなあ、こういう動き方をする人だよなあという赤信号が灯る人や、AさんとBさんって、実は繋がっているらしいよ?という非公式な情報に遭遇しますよね。法務の仕事は、そのような局面でこそ意味をもつ仕事なので、背後にある社内事情(人間関係)が大事になるときがあります(これは組織の中にいる限り、どんな職種でも同じかもしれません)。

明文化されていない文脈って組織の中に確かにありますよね。

それを忖度というのかどうかは難しいところですが、そのような「感触」を、目の前の人間から観察する力って大事です。そこを踏まえずにモノを申しても同僚にも事業部にも一切伝わりません。

 そして、これらの情報にアクセスできるのは、基本的には、長く会社にいて、他部署の方との人間関係ができている人です。

割合的には、インハウスよりも、長年プロパーで働いている法務部員の方がこの辺りの情報にアクセスしやすいのではないでしょうか。インハウスは大体2〜3年のスパンで転職しがちですwそんな短い期間の中で、こういう大切な情報にアクセスできるようになるって難しいんじゃないかと思います。

その意味では、どれだけ当社のビジネスや、その背後にいる人たちのことを「分かっているのか(知っているかではなく)」という点が大事になるわけで、資格の有無は全く問題にならないように思います。

 

2【想像力=表現力】

次に、具体的な想像力です。これは一方に偏った視点ではありません。ものごとには必ず異なる立場があるということを踏まえた上での表現力です。世の中には色々な立場、主義主張の人がいますよね。

たとえば、会社での自分の立ち位置に固執して、不必要に尊大に振る舞ってしまい、周りに気をつかわせてしまう人。

逆に、あまり、そういうことには興味がなくて、自分が落ち着ける、楽しめる環境を求めた結果、周りも、自分も、なんとなく安心できる環境を作っていける人。

そういう異なるタイプの人が世の中にはいるということを想像できることって大事だと思います。

それは、表現力、すなわち、伝わりやすさ(納得感)につながるためです。

たとえば、Aさんにはこういう風にメールしてみよう、Bさんにはこういう風に書き置きしておこう、Cさんには少しきつめに伝えてみようかなという発想自体、相手の立場やレベルに配慮した想像力、すなわち表現力に他なりませんよね。

やる側としては色々考えることがあるので疲れますが、それで相手が納得してくれるのであれば、やり方としてはスマートです。

要は、どれだけ心を砕いて、その人とのコミュニケーションを取ったのかということでしょうか。そして、これも、資格の有無とは全く関係のない事柄でした笑

 

果たして両者に有意な違いが見いだせるのか、、、自身不安になるところです。

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以上、自分なりに、法務における資格の有無みたいなものを考えてみたのですが、

仕事の本質の部分では全く変わらないのではないかという気がしてきました。

なので、「3【仕事力=総合力】」については、次回また改めて書きたいと思います。なぜなら、自分自身悩んでいる部分ですので。

そして、記事としても、全く面白みに欠ける方向になるのではないかとw

もっと資格の違いを強調して、バズらせる工夫が要るのかもしれませんが、

自分がそう思うんだから仕方ないですよねww

ゴーンショック

表題の件、当初、金商法違反!なんて出るものですから、え?インサイダー!?何でそんなケチなまねを?と思いましたが、被疑事実は、役員報酬の過少申告、すなわち有報の虚偽記載ということでした。

立件の本丸はそこではないんじゃないかという意見もあるように、最終的には、特別背任や、業務上横領などの被疑事実に変化していくのではないかと思いますが、いかなる罪名であれ、これだけの金額の過少申告(背任行為?横領?)や社内外に与えた負の影響に鑑みると、有罪とならば実刑は免れないんじゃないかと。まさかの超法規的措置!が発動されて、フランスに帰国!とかがない限り。

 

さて、日本の経営者の役員報酬については、海外に比べて、低い、低い、とずっと言われてきていたように思います。あのゴーンさんですら、10億円弱だ。それに引き換え、アメリカの経営者はもっとすごい!というような記事もけっこう散見されました。なので、50億円の過少申告ということについて、そもそも貰いすきだ!いう議論はあまり当たらないんじゃないかとも思いますし、経営者の報酬についてもっと締め付けを!みたいな論調になるのもいかがなものかと思います。むしろ、個人的には、窮地に陥った日産の建て直しや、三菱自の不祥事の際の鮮やかな立ち回りからの三社連合の組閣などを見ても、個人的にはもっと貰ってもいい人なんじゃないかとも思っていました(結論として貰っていたようですが笑)。

しかし、日本企業の役員報酬の設定の仕方やその額が諸外国に比べて低いということに構造的な問題があったとしても、市場やステイクホルダーを騙してでも犯罪にコミットしてよいという話にはなりません。希代のカリスマ経営者という側面もあれば、一人のズルくて欲深いおっさんだったというのも事実なんだと思います(報道通りの事実があれば)。業が深いですね。ゴーンさんなだけに。

 

そもそも、本件、代取2名が逮捕されており、本当に他の役員は何も知らなかったのか?組織として、責めを負うべき部分はなかったのかということについても、外から見ると怪しいですよね。本当に一部の人間しか知り得ない完全犯罪だったのかもしれませんが。

明らかに、50億円もの過少申告や、その他の使途不明瞭なお金の動きに誰も気づいていなかったということはないわけで、現に、日産社員と検察との間に司法取引が成立したことがそのことを物語っています。

日産のカリスマ救世主である(あった)ゴーンさんに直接物申せる人がどれだけいたのか、ガバナンス改革、社外役員と声高に叫んではみても、所詮月1の役員会にしか来ない外の人達が持っている情報量や社内人脈では、問題の端緒を掴むことすらできなかったのではないかと思います。もっとも、内部通報を受けてから不正が発覚し、そこからの調査により自浄能力が働いたというのは褒められるべき部分だと思いますし、社外役員の方の力も大きかったのではないかと推察します。その意味では、トップの不正に対し、内部通報がきちんと機能し、適切な対応をしたケースと後日評価される事件なのかもしれないですね。

内部通報を受けて後、どのようなレイヤーで、どのような体制でもって、どのようなスコープで社内調査を遂行したのか、その場合の社外の弁護士との協働や、司法取引というオプションをどの時点から検討したのかという部分は、会社の中にいる人間としては、気になるポイントです。

このブログについて

日本でもだんだんと人数が増えているインハウスロイヤー(企業内弁護士)の日々の仕事、法律ネタ、日々の勉強、若手インハウスロイヤーのキャリア、今後の弁護士業界のことなどについて情報発信したいと思い、ブログを始めることにしました。60期代後半(インハウス5年目)の若輩者ではありますが、思うままに記します。